鉄骨番長ブログ

好きなものを紹介したり、日々の日記を書いたりしています。水面のように穏やかに生きています。

4月11日 栄のサウナ

こんにちは。鉄骨番長です。

 

栄の夜は僕の嫌いな人たちが集まる。栄に限らず嫌いな人が多い町はたくさんある。特に地元に帰ると嫌いな人ばかりだ。例えば家の近くでごみを燃やすおじさん。それだけでも嫌なのに、そのおじさんは勝手に人の敷地内に入ってきているのだから、ダメだと思う。僕の実家が田舎ではなかったら、本当につかまってしまうのではないかと思う。捕まってほしい。そんな僕の地元の話はもうやめておきたい。

話は戻って、やっぱり栄は嫌いな街だ。名古屋に初めて行ったとき、名古屋駅があるところが一番栄えていると思っていたのだが、みんなに聞くと栄が一番栄えているらしい。面白くないやつは「栄が一番栄えている。栄だけに。」なんてことを言うのも栄が嫌いな理由の一つである。また、栄にいる人が嫌いだ。なんだかうるさくて傲慢な気がする。そんなことを言っている僕も栄にいる間は栄という町の構成要素の一つである。となると栄が嫌いな僕自身でさえも栄の一部となっているという、支離滅裂な状況が生まれてしまうことになるのだ。本当に何かが嫌いなのならば、その構成要素にならないように気を付ける必要があるのではないかと思う。

そうはいっても名古屋に行ったなら、栄は必ず寄らなければならない。僕が服を買う店も本を買う店も全部栄にあるからだ。来るたびに嫌いになるこの町へ毎回のように来てしまうのは僕も栄という町に憑りつかれてしまっているということなのかもしれない。

 

愛知県で一番大きいとネットには書いてあった丸善という本屋の奥にサウナはあった。ウェルビー栄は本当に僕をWELL BEにさせてくれた。僕はダメなサウナにははっきりだめだという。もちろん心の中で。口に出して言う勇気がないからだ。サウナスパ健康アドバイザーという資格を持っている僕にまやかしのサウナは通用しないのだ。そんなたぐいまれなる”サウナ眼”を持っている僕にもウェルビー栄はすごく良いものに見えた。外から見ると小さく見える建物の中にはこの世のすべてがあった。女性が入ることのできない男たちの楽園の中では全裸の男たちが汗を流して死ぬ寸前まで己を高める。その光景は古代ギリシアで行われた、初代オリンピックのようだった。初代オリンピックは見たことないけれども、女人禁制であった初代オリンピックはほとんどウェルビー栄なのではないかと思う。初代オリンピックにサウナという競技があったのなら、代表選手はほとんど栄出身になるだろう。そして強豪国として何度も連覇するに違いない。卓球といえば中国。バスケといえばアメリカ。そしてサウナといえば”栄”。

そうしてたどり着いた”トトノウ”という境地は言葉にはできない心地のものなのだ。一種の研究によれば、整った状態では脳内に麻薬を摂取した時と同じくらいの幸福物質が出ているという。これ完全に僕が作り上げたデマなので信じなくてよい。

とにもかくにもウェルビー栄にはたまに行く必要があるかもしれない。嫌いな街である栄に少しでも好きな要素を作るためにできた施設なのではないだろうか。

 

ウェルビー栄は栄が嫌いな僕を栄に通わせ、そして、僕自身も栄に取り込もうとする悪魔の建物なのだ。それに気づきながらも、僕はまたウェルビー栄に足を運んでしまう。

 

サウナを出た後の夏とはまだ言えないほどの涼しい夜が僕は大好きだ。サウナを出た後は栄を愛することができる数少ない時間なのだ。

 

 

今日の一曲

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